消費税の軽減税率について(その1)
今回から3回シリーズで、消費税における軽減税率について特に影響の大きい飲食店、食料品店、食品メーカー、農業関係者向けにポイントを述べさせていただきます。
各回のテーマは、
・第1回 消費税率引き上げと軽減税率の概要
・第2回 軽減税率の対象となる場合とならない場合
・第3回 実務上対応すべきポイント
です。
早速、軽減税率制度についてですが、2019年10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられる予定です。税率引上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されます。
軽減税率は8%で適用される品目は、
・飲食料品:酒類を除く飲食料品であり、外食やケータリングは対象外
・新聞:週2回以上発行されるもので、個宅配達のように定期購読契約によるもの
の2種類です。今回のシリーズでは、前者の飲食料品に絞ってお話をします。
飲食料品に軽減税率が適用される経緯は、財務省HPによると低所得者対策とのことです。
リンク:https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda023.html
事業者にとっての軽減税率の対象については次回お話しすることにし、今回は消費者にとっての影響についてお話します。
3つ例を挙げて、軽減税率の対象を説明します。
1.コンビニで、晩酌用に缶ビールとおつまみナッツを購入した場合
・缶ビールについては、酒類のため、軽減税率対象外(10%)
・おつまみについては、酒類ではないため、軽減税率対象(8%)
2.ハンバーガーショップで、お店で食べるハンバーガーと自宅に帰ってから食べるフライドポテト(湿気っておいしくなさそうですが…)を購入した場合
・ハンバーガーについては、外食用のため、軽減税率対象外(10%)
・フライドポテトについては、外食用でないため、軽減税率対象(8%)
3.スーパーで、おつまみのカルパスと愛犬用のカルパスを購入した場合
・おつまみ用については、軽減税率対象(8%)(ヒトにとっての飲食料品)
・愛犬用については、軽減税率対象外(10%)
(ペットフードは定義上飲食料品に該当しません)
但し、3.のカルパスの例では、愛犬にドッグフードのカルパスではなく、ヒト用の食品であるカルパスを与えている場合は、ヒト用として販売されている限り、軽減税率の対象となります。
理屈上は消費者の消費目的(上記のカルパスの例)で判断すべきなのですが、レジでお客様に1品1品購入目的を確認することは、現実的ではありません。購入目的の実務上のポイントについては、3回目に解説します。
このように、消費者の立場からも軽減税率の対象について正確に理解すべきポイントがあります。消費者が日常の買い物で不利益を被らないようにするためには、販売する事業者側が正確に軽減税率の対象を正確に理解する必要があります。
2019年10月の消費税率引上げについては延期または中止もあり得ますが、予定通り実施される場合、残り1年余りであり早めの対応が必要と考えられます。
なお、軽減税率の概要については国税庁の軽減税率パンフレットもご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/05.pdf